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シンガポール生活でのストレス体験談

ゆいグローバルネット チームメンバーの吉国泰代さんから、シンガポールへの転居時の体験リポートです。


シンガポール生活でのストレス体験談

吉国泰代

              <医師・公認心理師>


 シンガポールは東南アジアの多民族多文化・都市国家です。


 15世紀以降、中国系移民と原住民のマレー系民族が混在して暮らしており、当時、中国語、マレー語が言語として使用されていましたが、その後、1826年に英国植民地となって英語も使用されるようになり、同じ英国植民地であるインドからの労働者も移住するようになりました。こういった多民族・多文化の歴史背景があり、国民も、中華系、マレー系、インド系など多民族から構成されています。外国人も多く、バングラディシュ、ミャンマー、フィリピン、インドネシアから建設現場や家事ヘルパーとして滞在する労働者もいれば、ホワイトワーカーとして、多国籍企業で働くアジア、欧米出身のエクスパットもいます。


 私は2010年からシンガポールの日系クリニックで日本人対象の総合診療を行っています。仕事や友人に支えられ、シンガポールの多様性にすっかり魅了されて14年目を迎えました。しかし、自分の意思でシンガポールに来たにもかかわらず、来星当初は大きなストレスを感じました。最初の2年間、私は専業主婦をしており、長女は日本人小学校に編入しましたが、日本人が少ない地区に住んでおり、小学校が終わりバスで戻ってくると長女は全くすることがなく退屈で、携帯ばかり触っていました。私はそれが気に入らずカッとなって携帯を投げつけて壊すなど、長女としょっちゅう衝突していました。次女は近所のローカル幼稚園に入園しましたが、恥ずかしがり屋でなかなか幼稚園に慣れず、また最初に住んでいたコンドミニアムには苦手な虫が多くて、家でもくつろげませんでした。


 当時を思い起こすと、自分のメンタルケアと環境調整が不十分だったと思います。主婦業に専念するのは向いていなかったようで、1年経った頃から現地の鍼灸のクラスに通い始め、2年過ぎたころ医師の仕事を再開しました。住まいは、子どもたちが日本人の交友関係を持ちやすく放課後も時間をすごしやすい地区に引越し、次女の幼稚園も日本人が多い園に変えました。私も家事と子育て以外の自分自身の興味や仕事に目を向け、ヘルパーなどを利用することで心にも余裕が生まれました。


 皆さんの中にも慣れない海外暮らしや環境の変化で閉塞感や困難を感じている人がいるかもしれません。まずは自分のケアを心がけ、新しいつながりを探して周りに目を向けてみてください。必要があればメンタルヘルスの専門家に助けを求めてください。来星当時の自分自身にアドバイスができたとしたら、1.自分のケア、2.子どもを見過ぎないこと、3.周りにつながりを作ることを伝えたいです。


 コロナの状況下で私たちの行動は大きく制限を受け、私たちのメンタルヘルスも負の影響を受けました。一方で、新しいつながりを作るオンラインでの新しい活動も増えました。今日、私たちは、新しい生活様式に適応し、それぞれの場所で幸せに生きていく力が試されているように思います。ゆいGネットのメンバーも、皆さんと繋がりお役に立つことを願って活動しています。



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